REPORT&MESSAGE

あなたへ、地元のみんなから

BARBERSHOP C.O.R 代表 草野 倫仁さん

店名に込めた復興への願い。富岡町の可能性を信じた起業。

BARBERSHOP C.O.R(バーバー・ショップ・コール)の由来

コール(C.O.R)っていう名前はCircle Of Revival=サークル・オブ・リバイバルっていう英語の頭文字を取っています。意味は「復興の輪」です。

富岡町は1度震災で空白の時間ができた町だと思うんです。その空白の時間に、会わなくなった人、会えなくなった人が自分の店をきっかけに町に来てくれたら嬉しいですね。

「久しぶりに帰省するから髪切ってほしいんだけど」、みたいな感じで連絡をくれる友人もいて、多分私がここでお店をやってなかったら、その友達が町に来るってことも、もしかしたらなかったかもしれない。そんな繋がりとかが、自分のお店をきっかけに広がる願いをこめて、こういう店名にしました。

町で起業を決めたきっかけ

高校卒業後、大宮の理容師の専門学校に働きながら通っていたんですけど、2年で資格取得後に、そのまま働いていた埼玉のサロンで24歳まで勤めて、その後1年間栃木のサロンで働いて、25歳で富岡町に戻りお店を開きました。

理容師業界に進むと決めたときから、自分のお店をいずれは持ちたいなと思っていました。たまたま地元でゆっくりしてた時に、これからの人生どうしようかな、とふと思う瞬間があって。悩んでるときに、自分の両親から「町には床屋さんが無いんだよね」という話を聞きました。ニュースで原発が大きく取り上げられすぎて、やっぱりまだ住めない町なのかな、という印象が強かったんですよ。でも帰省して自分の目で見たときに、普通に車は走ってるし、飲食店やコンビニもあるし、さくらモール(スーパー)もあって、割と生活するうえで必要なところは全部揃っているので、想像していた町とは全然違いました。

富岡町の住民の9割は男性なのに、床屋さん自体が少ない。ならば、起業するなら富岡町の方が必要とされる可能性が高いと思いました。地元でしたし、誰かに必要とされる仕事には、幸福感がありますよね。

なかには「人来ないんじゃない?」って心無い言葉を言う人もいます。両親が知り合いにスーパーで会って、「こっちでやって大丈夫なの?」って聞かれたという話も耳に入ったり。でも自分は不安を感じるよりも、富岡町で挑戦してみたい、というわくわく感が強かったので、それで自分は自分だからと周りの言葉は気にしないでやることにしました。

起業後の生活

起業してみて良かったです。

時間外に対応するときもありますが、労働時間や休みなども、勤めていた頃よりも自由がききますし。おかげで自分の時間ができて、趣味とかに費やせる時間が増えました。関東にいた頃は勤務時間が長く休みも少なかったので、休日は仕事で疲れて家で寝ていました。自分の時間は今の生活の方がしっかり作れます。海が近いこともあって、サーフィンはこっちに来て始めました。サーフィンに行ってから仕事に行くっていう、そんなときもあります。富岡町ならアウトドア系は結構いろんなことができるんじゃないかな。キャンプとか、山も自然も沢山ありますし。

もっと取り組みたいこと

理容室の個人店って基本、常連のお客様で運営できるのですが、今の常連のお客様は約2~3年経ったら、転勤してしまう方がほとんどなんです。オープン当初から予想していたことですが、地元の来店客は今のところ、全体の1~2割ぐらいなので、固定客を掴むのがちょっと難しいなって思っています。当店の年齢層は大体40~50代位のお客様が大半ですが、若い方とかが定住して来店してくれたら、常連客も増えるのかなって。そう思い、若い世代がよく見ている TikTokを運用しています。TikTokの視聴者といえば10代とか20代ぐらいだったのが、今や30代とか40代ぐらいの方も見るSNSになってきているので、幅広い年代層にもご来店いただければと思っています。SNSを始めて気がついたことは、動画を見て来店する人は、遠くても来てくれるんだなということです。いわきとか相馬の方からわざわざ来店する方もいます。だからSNSで発信することで地元のお客さまは元より、町外から新規の若い方も来て頂きたいですね。 

富岡町の好きなところ

桜はやっぱり幼少の頃から身近にあるものでした。関東に住んでいる時に、知人から桜のトンネルあるから見に行こうと誘われて行ってみたら、なんか3、4本ただあるだけみたいな。富岡町の「夜の森の桜」のようなものを想像していたので、「しょぼっ」これはトンネルなのかなって思ってしまいました。

夜の森の桜は本当にトンネルみたいになっていて、小中学校ぐらいの時は、身近すぎてそんなに凄いと感じないじゃないですか。でもやっぱり他の場所で見てみたり、年齢が上がってから見るとこんなに綺麗だったんだと改めて感じています。

今後の富岡暮らしに期待すること

震災前のように人口が増えて欲しい。お店も今は少なくて大体行くところが決まってしまいます。それでも、町内の飲食店の数はちょっと増えたんですけど、何処に行こうか悩むくらい増えたりしたらとてもいいな。夜遅くまで営業してるお店っていうのもなかなかないので、夜の9時から3時間ぐらいオープンするなんてお店が出てきても良いな。この辺は日曜定休のお店も多いですからね。土日も営業するお店も増えないと。これからの段階的な町の成長に合わせながら、営業していかないと。町を盛り上げるためにもやっぱり若い人が増えてほしいなと思います。


BARBER SHOP C.O.R
https://www.barbershopcor.com/

代表 草野 倫仁さん

関東からのUターン/2020年

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