町民ライター

まちなかに佇むベンチアート——富岡の風景を描く

富岡の町を歩くのが好きだ。ときには足を止め、ゆっくりと景色を眺める。
昨年の春、「さくら祭り」の会場で、一台のベンチに目が留まった。

そこには、桜が舞う中で二匹の猫がのんびりと佇んでいた。温かみのある優しい絵に、思わず心が和んだ。「こんなベンチが町のあちこちにあれば、街歩きがもっと楽しくなるのに」と、そのときはただそう思った。

ところが、今年に入って驚いた。なんと、町のさまざまな場所に、異なる絵が描かれたベンチがいくつも置かれていたのだ。
「月の下交差点」からの風景、お食事処「フキノトウ」の前には「ろうそく岩」が、富岡駅や、富岡町商工会にも置かれている。

どのベンチにも、震災前の富岡の風景が描かれていた。眺めていると、まるでその時代にタイムスリップしたような気分になる。懐かしさと温かさが胸に広がり、気づけば街歩きがますます楽しくなっていた。

「まちなかベンチアート」
そう名付けて、ただの街歩きが、ベンチを探しながらの街歩きになった。富岡の景色を描いたベンチをひとつ、またひとつと見つけるたびに、新しい発見がある。

町内には、現在、9基のベンチアートがあるという。
せっかくだから、全部見つけたい。
そう思うと、明日もまた歩きたくなる。

今日も富岡の町をのんびり歩きながら、次のベンチを探しに行こう。

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