冬の澄んだ夜空の下、富岡駅前広場に鮮やかな光のイルミネーションが広がります。これは一般社団法人富岡町観光協会が主催するイベント「TOMIOKAまち灯り2025」。寒さを忘れるような温かな輝きが、訪れる人々を魅了しました。
宵闇に包まれた駅前は、LEDの鮮やかな光に包まれ、日常とは一変した幻想的な空間に。時計台を活用したユニークなツリーや、富岡のシンボルである桜をモチーフにしたイルミネーションが、訪れる人々を出迎えます。
会場には、きらめく光のトンネルが登場し、くぐり抜ける子どもたちの楽しそうな声が響き渡ります。また、人気の天使の羽のベンチでは、家族連れが記念撮影を楽しむ姿が見られました。ライトに照らされた笑顔は、イルミネーションの輝きにも負けないほど、いきいきとしていました。









特に印象的なのは、駅舎にかかる橋の上からの眺めです。
この場所はまさに、知る人ぞ知る特等席。少し高い位置から見下ろすと、駅前の煌めきが一望でき、まるで宝石箱をひっくり返したような光景が目の前に広がります。イルミネーションが織りなす光の絨毯は、息をのむ美しさです。
橋の上からその光を眺めていると、ふと、懐かしい記憶が呼び覚まされました。
実のところ富岡駅は、私にとってかけがえのない大切な場所です。
かつて仏浜(ほとけはま)の海風を感じながら通った毎日の通学路。東京から遊びに来た幼なじみを、名残惜しく見送った特急電車のホーム。そして、高校生の頃、別の道へ進んだ旧友たちと再会し、笑い合った駅の待合室。
駅は、私の記憶のタイムカプセルです。
震災から時が経ち、2017年10月21日には新しい駅舎として生まれ変わりました。震災前と比べれば、駅前の賑わいはまだ静かなものかもしれません。現在はビジネスマンや、通学する学生たちが行き交う日常の場所となっています。

しかし、こうしてイルミネーションが灯り、夏にはにぎわいフェスで熱気に包まれるなど、少しずつですが確実に、駅前に人の賑わいが戻ってきています。
光にはしゃぐ子どもたちの姿を見て、確信したことがあります。
私にとって富岡駅が色褪せない思い出の場所であるように、今の子供たちにとっても、今この光景が、故郷の原風景として心に刻まれていくのだと。
子どもたちが愛着を持てる場所を作ることは、私たち大人が次の世代へバトンを繋ぐこと。そう考えると、このイルミネーションは単なる冬のイベントではなく、まちの未来を育む希望の灯りなのかもしれません。
変わっていく景色と、変わらない人の温かさ。
この光景を通して、また一つ、私は富岡町のことが好きになりました。
