とみおかワイナリー – とみおかくらし情報館
人と人がつながる入口になれたらいいと感じています

とみおかワイナリー

とみおかワイナリー
https://tomioka-winery.jp/
小田 雅己さん
〒979-1111
福島県双葉郡富岡町小浜反町36番地1

Wine&Gift Shop 『テルース』
☎0240-23-7606
Restaurant 『ラレス』
☎0240-23-5585

とみおかに新しい誇りを

私がとみおかワイナリーに関わるようになったきっかけは、「ワイナリー」という存在そのものに惹かれたことでした。
移住を最初から決めていたわけではなく、富岡町という場所を強く意識していたわけでもありません。たまたま12市町村移住支援ツアーに参加した時に、この場所を知り、まずはボランティアとして関わってみたのが始まりです。ちょうど前職を退職して、これからどうしようかと考えていた時期で、妻と一緒に気軽な気持ちで参加しました。
妻がワインが好きで、以前に北海道を一周しながら各地のワイナリーを巡った経験もあり、ワイナリーという場所に自然と興味を持っていました。収穫期のワイナリーで感じた、あの甘くて豊かな香りがとても印象に残っていて、「富岡の駅前に畑をつくる」と聞いたときに、あの空気がここにも生まれるのかもしれないと思ったんです。それが、関わる決め手になりました。

とみおかワイナリーは、東日本大震災と原発事故によって、富岡町は一時全町避難となり、長い間、人のいない時間が続きました。2017年に町が再開し、人が戻り始めた中で、「新しい風景、新しい産業、新しい誇りをつくりたい」という想いから、ワインづくりが始まったそうです。
夜の森の桜が100年もの時間をかけて地域の誇りになってきたように、ぶどうの木もまた、時間をかけて育ち、次の世代に残る存在になる。ワインづくりは、そうした長い時間軸を持った取り組みなんだと感じています。

ワイナリーがつないでくれる、人と地域の縁

私はレストランを担当していて、主に接客が仕事です。お客様と直接話す中で、この場所が持つ意味を強く感じます。印象に残っているのは、かつて富岡町に住んでいた方が、ワイナリーができたことをきっかけに戻ってきた際に、「頑張ってね」と声をかけてくれたことです。「ワイナリーができたから来てみたんだよ」と言われることも多く、それが大きな励みになっています。
ボランティアの存在も欠かせません。月に1~2回、多い時には200人を超える方が来てくださることもあります。関東圏から来られる方も多く、ワインに興味がある人もいれば、福島や浜通りを知りたい、力になりたいという思いで来てくださる方もいます。今の社員数だけでは到底できない作業量を、ボランティアの皆さんが短期間で進めてくださいます。本当に多くの方に支えられて、一歩一歩進んでいるんだと実感します。

「復興のため」ではなく、「本気でいいワインをつくる」

県外の方からよく聞くのが、「思ったより普通ですね」「もっと大変な場所だと思っていました」という言葉です。私自身も、仙台から来るときに、大丈夫なのかと聞かれることが多かったですが、実際に暮らしてみると、特別に不便を感じることはありません。南相馬までは30分、いわきも1時間弱、実家のある名取にも1時間ほどで行けます。田舎といえば田舎かもしれませんが、生活に困るほどではありません。
このワイナリーは、復興のための施設というより、本気でいいワインをつくろうとしている場所だと感じています。復興の一部としてやっているのではなく、30年後には北海道や山梨のワインにも負けないものをつくりたいと本気で考えている。その姿勢が、この場所の一番の魅力だと思います。まずはおいしいワインを作って楽しんでもらうこと。結果として人が集まり、人口が増え、町との関わりが生まれていく。当たり前のことを続けることが、このまちの発展に繋がるのかなと思っています。

100年先につながる富岡町の未来へ

2025年5月に正式オープンを迎え、これからワイナリーはレストラン、ショップ、ワインガーデンを備えた場所として育っていきます。ただ、町を一気に賑わせるというよりは、人と人がつながる入口になれたらいいと感じています。「こんなに頑張っています」と押しつけるつもりもなければ、「こんなに大変なんです」と訴えたいわけでもありません。ありのままの富岡を見て、感じてほしい。楽しんでもいいし、大変だと感じてもいい。まずは知ってもらうことが大事だと思っています。

移住を考える方に伝えたいのは、特別な覚悟はいらないということです。私自身も、ワイナリーに惹かれて来ただけで、最初から移住を決めていたわけではありません。でもここには、本気でものづくりをしている人たちがいて、支え合いながら進んでいる空気があります。ワインを楽しむ人も、働く人も、遊びに来る人も、みんなが楽しく関われる場所。
100年先、子どもや孫の世代がこのぶどう畑を見て、「ここから始まったんだ」と誇りに思える場所。とみおかワイナリーは、そんな未来につながる土台をつくっている場所なんだと思っています。

To top