REPORT&MESSAGE

あなたへ、地元のみんなから

佐々木 裕治さん・愛菜さんご夫妻

この町で子どもの成長を見守りつづけたい

長男の奏太くん(かなた 6歳)、次男の柊太くん(しゅうた 2歳)と、家族4人で暮らしている佐々木裕治さん・愛菜さんご夫婦。以前は福島県いわき市で暮らしていましたが、2022年3月に富岡町に移り住んでから、お子さんたちがよりのびのび成長していると感じるそうです。お子さんだけでなく、自分自身も変わったと話してくださった愛菜さん。裕治さんから見ても、お子さんも奥様も目に見えて生き生きしてきたと言います。そんなおふたりに、富岡町での子育て事情をお話しいただきました。

子どもの成長を考えて富岡町に移住

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—富岡町で暮らそうと思われたきっかけから教えてください。

愛菜さん:夫は元々富岡町出身で、私は浪江町(富岡町から北に20km程の町)出身です。家族でいわき市で暮らしていたのですが、子どもをこのままいわき市の学校に通わせるかどうか、迷いがあって。

裕治さん:うちの子、集団行動が苦手で。いわき市の学校は1クラスあたりの人数も多いだろうし、大丈夫かな?って。

愛菜さん:そんな時に、夫が元々住んでいた富岡町の家が残っているよね、という話になったんです。

裕治さん:父が建てた家なんですけど、両親は震災後別の場所で暮らしているので、しばらく他の人に貸していたんです。僕たち家族で富岡町に戻りたいんだよねって話したら、むしろぜひあの家に住んで欲しい! とお願いされました笑。やっぱり自分が建てた家だから、思い入れがあるらしくて。

愛菜さん:富岡町では家のリフォームに助成金を交付してくれるんですよ(富岡町定住化促進対策住宅助成事業:https://www.tomioka-town.jp/soshiki/toshiseibi/toshikeikaku/oshirase/2622.html)。この家はお義父さんの名義だから私たちは受けられなかったんですけど、もし今後富岡町への移住を考えている人がいたら、この制度を活用するのはいいかもしれませんね。

園児一人ひとりに目を配ってくれるこども園

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—お子さんの進学のことを考えて富岡町で暮らすことを決断したということですが、実際に暮らしてみてお子さんの様子はいかがですか?

愛菜さん:富岡で暮らして大正解でした! 上の子を町のこども園に通わせているのですが、すごく合ってるみたいで毎日楽しそうにしています。通っている子どもの人数が多すぎないっていうのもよかったです。みんな仲良しで、のびのびしています!

裕治さん:もう他のこども園はヤダ!って言ってるよね笑。親の目から見ても、以前と比べて明らかにのびのびと楽しそうにしてますね。

愛菜さん:園庭もめちゃくちゃ広くて、思いっきり走り回れる。奏太にはそれがいいみたい。

裕治さん:子どもの人数が少ない分、先生の目も行き届いてる感じがするよね。一人ひとりちゃんと見てくれてる。奏太は植物が好きだから、でっかい模造紙に大きな植物の絵を描かせてくれたりとか。砂場の横に奏太専用の雑草を植える花壇まで作ってくれた笑。

愛菜さん:ミニ畑ね笑。

—そんなことまでしてくれるなんて素敵ですね!

裕治さん:子どもの好きなことを伸ばしてくれて、それに先生も付き合ってくれるんですよね。年齢が下のクラスの子も一緒に混ざって、植物を植えたり引っこ抜いたり。そういうことを自由にやらせてくれる。

愛菜さん:違う年齢の子と関わることで、息子も成長していると思います。

—富岡町のこども園は、ひとクラス何人くらいなんですか?

愛菜さん:奏太のクラスは9人かな。でも、0~5歳児までのクラスは50人近くいるかも。どんどん町に子どもが増えてきてるみたいで。想像よりも多くてびっくりしたけど、それもなんだか嬉しいですよね。

—子どもが増えてきているということは、移住者が増えているということでしょうか?

愛菜さん:そうなのかな? 確かにお話を聞くと、パパの仕事がこっちで一緒についてきましたとか、移住してきましたってママが多いかも。

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充実した子育て支援

—富岡町の子育て支援は利用していますか?

愛菜さん:中学3年生までの子どもひとりにつき、月に15,000円を3年間交付してくれます(子育て世帯奨励金交付制度:https://www.tomioka-town.jp/soshiki/fukushi/fukushi/oshirase/2177.html)。

裕治さん:移住後、3年以上継続して町で暮らすことが条件だったと思います。支援制度はたくさんあって、僕たちも全部を把握できているわけではないので、移住を考えている人は町役場に聞いてみるといいかも。

愛菜さん:給食費が無料というのも嬉しいです。こども園の中で給食を作っているのも、子どもたちが温かいご飯を食べられるからいいですよね。あとは、学校で使うジャージや教材なども無料で提供してもらえるらしいので、すごく助かります! (https://www.tomioka-town.jp/soshiki/kyoikusomu/somukanri/oshirase/4511.html

裕治さん:小学校からは、放課後児童クラブとかもあるよね?(https://www.tomioka-town.jp/soshiki/kyoikusomu/somukanri/oshirase/4782.html)奏太が小学校に進学したら、通わせたいかも。

愛菜さん:利用料は無料で、月のおやつ代(2,000円)だけで子どもを預かってもらえるんです。学校が終わってから午後6時30分まで預かってくれるから、すごく助かります。私もこれから働きに出るつもりなので、ぜひ利用したい!

相談できる人がいることの心強さ

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—かなり充実した子育て支援ですね! そのほかにも、富岡町で暮らしてよかったなと思うことはありますか?

愛菜さん:増えてきているとはいえ、まだまだ町内では子どもが少ないので、子ども同士の絆が深いなと思います。子どもが仲良しだと、お母さん同士も頻繁に会ったりして。富岡町で暮らし始めてからママ友がたくさんできました! 以前は全然いなかったのに笑。

裕治さん:彼女は結構奥手というか、あまり人と積極的に関わらない人だと思ってたのに、富岡に住んでから、何かが開花したよね笑。「こんなに積極的に動く人だったんだ」ってびっくりしてます。

愛菜さん:同じ子育てをしている母親として、気軽に相談できる相手が近くにいるというのが、本当に心強くて。今まではちょっとしたことでも自分ひとりで調べて「本当にこれでいいの?」 って不安になりながら子育てしてて。今は、気軽に話せるママたちが増えたので、「自分だけじゃないんだな」って思えて、救われた部分が大きいですね。

—ひとりでネットで調べてると、どんどん気持ちが落ち込んでいきますよね。

愛菜さん:そうなんですよ。「こっちではこう書いてあるけど、こっちでは真逆のことが書かれてる」とか。何を信じればいいんだろう?って鬱々としちゃってました。今では直接ママ友たちの意見を聞けるので「やっぱりそうだよね」って安心できる。

この町で暮らしことで、積極的になれた

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裕治さん:この町でやっていくぞ! と心が決まってから、変わったよね。自分から前向きに、いろんな人と関わっていってる。元々は口下手で喋るのが苦手な人なのに、こっちに来てから子どもたちのために自分から喋りかけたり。自分からコミュニティーを作っていこうとしている姿を見て、すごいなって感じてます。就職先も自分で決めたしね。

愛菜さん:4月から『ふたばいんふぉ』(https://futabainfo.com/)で働き始める予定です。移住してきた人たちが町おこしを進んでやってくれている姿を見て、私も何か双葉郡に関わる仕事がしたい! と思って。『ふたばいんふぉ』がこの地域の案内所的な立ち位置でいろいろ活動しているのを見て、「ここで働きたいです!」って代表の方に直談判しました笑。

裕治さん:富岡で暮らすようになってから本当に変わったよね! 最初は、正直不安でした。俺の古里とはいえ、周りは知らない人ばかりだし、ここで子どもを抱えてポツンと暮らしていくんだろうか、と笑。でも、こども園に通うようになってから徐々に知り合いが増えていって、自分から積極的に行動するようになったよね。

—愛菜さんご自身も、自分の変化を感じますか?

愛菜さん:それは感じてます。以前は顔見知りのママにその辺で会っても、話しかけられないようにコソコソしてました笑。挨拶するの嫌だな~って思うくらいだったのに、今はママ友を見かけると「あ!」って自分から近づいていって話しかけるようになりました。この一年で本当に変わったなって自分でも思います。

裕治さん:僕は家に引きこもって、おつまみを自分で作ってお酒を飲んでいれば十分な人なので笑。誰かと交流したいという気持ちはそこまでないかなぁ。でも、この家に遊びにきてくれる人が増えたのは嬉しいかも。『ふたすけ』の鈴木さんご夫妻とか(https://www.tomioka-iju.jp/706-2/)。旦那さんの亮さんが酒豪だから笑。

不便を楽しみながら暮らす

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—これからどんな「とみおかくらし」を送っていきたいですか?

裕治さん:とりあえずは、しっかりと子どもの小学校6年間を見守りたいと思っています。そして、子どもが成人になるまで、この町で見守りながら支えていきたいです。

愛菜さん:私は「子どもの居場所づくり」に興味があります。こども園も、鼻水がでていたり、咳をしていたりすると登園できなくなるので、働いているお母さんたちが安心して子どもを預けられるような場があるといいなと思って。今はPTAも無いそうですが、あるといいなと思いますし、もし自分にできることがあれば積極的に関わっていきたいです。

—最後に、富岡町に移住を考えている方にメッセージをお願いします。

裕治さん:勢いだけで移住しちゃうと、ギャップが生まれるかもしれない。富岡町はなんでもそろっている町ではないから、“不便を楽しめる”人なら合うんじゃないかな。不便さがあるからこそ、お互い支え合って人付き合いが濃くなっていく。一緒に味噌作りしたり、畑をやったり。そういったワークショップも頻繁に開催されているから、自分から情報をキャッチして参加できるようなガッツのある人だったら町にもすぐ馴染めると思います。

愛菜さん:夫が言うように、正直富岡町は買い物も不便だし、病院に通うのも不便だし、“不便”を考えるとたくさんあります。でも、それは富岡町に限ったことではなく、どこの町や村も同じような不便さは抱えていると思います。富岡町では、自分から動けば状況を変えていけるという、充実感や楽しさをすごく感じられますよ。

裕治さん:それか、極端だけど、本当にひとりっきりで引きこもって生きていきたいという人もいいかも笑。逆にね笑。

写真:及川裕喜
文:地域おこし協力隊 遠藤真耶


佐々木 裕治(ゆうじ)さん・愛菜(あいな)さん・奏太(かなた)くん・柊太(しゅうた)くん

2022年3月より、富岡町に移住。長男の奏太くんは植物が大好きで、驚くほどの知識を持っている。次男の柊太くんは、お父さん譲りのくるくる髪の毛がかわいい。ふたりの息子の成長を見守りながら、とみおかライフを満喫している。

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