REPORT&MESSAGE

あなたへ、地元のみんなから

中出 彩香さん

富岡町には家族みたいな人がたくさんいます

富岡町のことが大好きだと、満面の笑顔で話してくれた中出彩香さん。北海道稚内市で生まれ育ち、大学卒業後は富岡町の建設コンサルティング会社『株式会社ふたば』に入社。富岡で暮らし始めて一年が経とうとしている彩香さんに、移住を決意した理由や富岡町の好きなところをお聞きしました。そこからは、彩香さんの“まちづくり”に対する素敵な思いが伝わってきました。

まちづくり会社でのインターンシップが富岡町を知るきっかけに

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—彩香さんが富岡町を知ったきっかけは?

彩香さん:大学3年生の時にインターンシップを探していて、「ここがいいな」って思ったのが富岡町でした。まちづくりに興味があったので、企業体験だけじゃなくてまちづくりにも関われるようなインターンを探していたんです。それで見つけたのが『とみおかプラス』さんというまちづくり会社でした。

—彩香さんが“まちづくり”というものに興味をもったのはいつ頃からですか?

彩香さん:大学では建築を専攻していたんですけど、そこにまちづくりを専門にされている先生がいらっしゃって、その先生の授業を受けていくうちに、「まちづくりって楽しそう!」って思うようになりました。

—『とみおかプラス』さんでは、インターン生としてどんなことを行ったんですか?

彩香さん:富岡町をPRするためのツアーを作るということをしました。震災のことを学んだり、農家さんに協力していただいて農業体験をしたりました。それから、いろいろなところに連れて行っていただいて、たくさんの方にインタビューもしました。

—ツアー作りをしている中で、彩香さん的に惹かれた場所や出来事はありましたか?

彩香さん:私がインターンシップに参加したのは2019年だったんですが、まだ町内に帰還困難区域が残っているのを目の当たりにして。目に見える場所に震災の爪痕が残っていたんです。テレビなどで見るのと実際に見るのとではやっぱり全然違いました。こういう景色を知らない人は私以外にもたくさんいるんじゃないかと思って。もっと多くの人に見て欲しいし、知って欲しいと思いました。

—最終的にはどんなツアープランになったのですか?

彩香さん:米農家さんと一緒に米作りをしたり、ワイナリー(とみおかワインドメーヌ)でワイン葡萄を栽培したり農業体験をメインに、震災の記録や教訓を伝える東京電力廃炉資料館の見学等のお手伝いを組み込んでいきました。ツアーを作る中で、私たちが感じたのは富岡町の“人の魅力”です。その魅力がより伝わるように、ツアーにご協力いただいた、富岡町で暮らしてる人や活躍している人たちと対話する、というワークショップをツアーに組み込みました。

住民の町に対する強い思いに惹かれる

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—富岡町の“人の魅力”とは、どんなところだと思いますか?

彩香さん:「この町を良くしたい!」って活動している方がいっぱいいらっしゃるんです。この町を存続させるんだ、より良い町にしていくんだっていう熱量というか、パワーがすごく強いなと思います。そんな町の人たちと接していると、私も力をもらえるんです。

私は北海道の稚内市出身なんですけど、稚内もどんどん人口が減少していて、商店街も寂れてしまっています。『とみおかプラス』でのインターンを経験してから、地方が抱えている課題を少しでも解消していきたいなと考えるようになりました。富岡町で暮らしている人たちからは、「自分たちの町をなんとかしたい」というプラスのエネルギーをたくさん感じるので、そういうところがすごく魅力だなって思います。

—インターンで終わらず、富岡町に移住しようと決めた理由はなんですか?

彩香さん:インターンを終えて地元に帰ってからしばらくは、北海道でまちづくりをしたいと思っていました。でも、そこから就職活動が始まるまでの間に、富岡のことを思い出すことがすごく多くて。

—それはなぜ?

彩香さん:楽しかったんですよね、富岡町で過ごした日々が。なんていうか、「私、すごい頑張ってたな」っていうか。それまでの大学生活をだらだら過ごしちゃってて、そこまで何かに熱中するようなことってなかったんです。一生懸命授業を受けているという感じでもなかったし(笑)。そんな私が、富岡町で過ごした1ヶ月間はすごく充実してたなーって。

インターンが終わってからも、「常磐線が開通するからおいでよ」って呼んでいただいて。開通を祝うのぼり旗を作って、駅のホームで電車をお出迎えしたんです。その後も定期的に連絡をくださって。インターンが終わったらバイバイじゃなくて、繋がりをずっと持ち続けてくれたんですよね。富岡の人たちの温かさに触れて、ここで暮らすということを意識するようになりました。一緒にインターンに参加した子に「富岡で働いてみたいんだよね」と相談したら、「いいじゃん! みんな絶対喜んでくれるよ!」って背中を押してくれました。それで「よし! じゃあ富岡で就職先探そう!」って。

運命の会社に出合い、就職

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—ちょっと意地悪な質問ですが、なぜ『とみおかプラス』さんではなく『株式会社ふたば』さんに就職を?

彩香さん:『とみおかプラス』さんは、私にとってもう“富岡にいる家族”みたいになっていて(笑)。仕事中も甘えてしまいそうなので、メリハリをつけるという意味でも、仕事は他の会社を探しました。

—富岡町の会社の中から『株式会社ふたば』さんに就職したいと思った理由はなんでしょう?

彩香さん:大学で建築の勉強をしていたので、その知識を生かしつつまちづくりにも携われるような会社はないかな?って探してたんです。そうしたら『株式会社ふたば』がヒットしました。会社の写真を見たら「ここ知ってる!」って(笑)。すごくスタイリッシュで印象的な建物だったので、「なんの会社だろう?」ってずっと思ってたんです。

募集要項を見たら、測量・計測も行う建設コンサルティングの他に、「まちづくり」に関しても記載があって、「建築とまちづくり両方できる! やった!」って。もうここしかない! と思いました。

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—運命の出合いですね! 彩香さんは『株式会社ふたば』さんでどんなお仕事をされているんですか?

彩香さん:インフラ関係の設計と、あとは“まちづくり”にも関わらせていただいてます。『株式会社ふたば』は、津波被害のあった富岡駅周辺のまちづくりに、住民の意見や思いを反映していこうと設立された『富岡駅周辺のまちづくりを考える会』の事務局でもあります。私は、その会が開催するワークショップの運営を担当しています。

—入社して、早1年が経とうとしていますね。

彩香さん:これは『株式会社ふたば』の社風だと思うんですけど、新人でもバンバン仕事を任せてもらえるんです。ワークショップの資料作りも一から関わらせてもらいましたし、すごくやりがいがあって楽しいです! その分、「ちゃんとやらなきゃ」って責任も感じますね。

上司や先輩方も、私の意見や提案をちゃんと聞いて受け入れてくれます。仕事を任せてくれた後も、「どう? 何か困ってない?」など、声をかけてくれるんです。仕事の話だけじゃなくて雑談もよくしてくれるので、気分もリフレッシュできます。話しやすい空気感を先輩たちが作ってくれて、すごくありがたいです。

—4月に新しい人が入ってくれば、彩香さんも先輩社員になりますね!

彩香さん:そうなんです! 後輩ができるんです! いつまでも自分が一番後輩でいたいんですけど(笑)。後輩が安心して会社に来れるような、優しくて頼れる先輩になりたいです。

富岡町に興味をもってもらえるような仕事をしたい

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—彩香さんの考える“まちづくり”とはどんなものでしょう? これからどんな“まちづくり”をしていきたいと考えていますか?

彩香さん:自分が表に出て率先してやるというよりは、富岡で暮らす人たちの活動を支えていけたらいいなと思っています。住民が主体となって行う“まちづくり”って素敵ですよね。大学では、まちづくりの活動を数値的に評価するという研究をしていました。例えば、この活動がこれだけの定住人口の増加につながってますよと数字で表すことで、漠然とした事象を「見える化」するという感じです。その数値評価をもとに、もっとこうしたほうが交流人口や定住人口増加につながるんじゃないか? などの提案もできると面白いなと思っています。町に賑わいが戻ってくるお手伝いができると嬉しいですね。

—では最後に、これからの目標があれば教えてください。

彩香さん:「富岡町に行ってみたいな」と興味を持ってもらえるような仕事がしたいです。町の魅力をたくさん感じてもらえるようなワークショップを運営してみたい。「富岡はいいところだから来てみて!」って伝えたいんです。一回でもいいから富岡に来てもらえれば、その良さを味わってもらえるはず。私がそうだったように、どんどん富岡が好きになっていくと思うんです。それで「富岡で暮らしてみたい」と思う人が増えてくれたら嬉しいです!

文:地域おこし協力隊 遠藤 真耶


中出 彩香(なかで あやか)さん

富岡町のまちづくり会社『とみおかプラス』でのインターンシップをきっかけに移住を決意。現在は『株式会社ふたば』の若き精鋭として、まちづくり関連などの仕事に奮闘。町内では彩香さんのホワっとした笑顔と雰囲気に癒されるという人が続出している。

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