REPORT&MESSAGE

あなたへ、地元のみんなから

橘 輝さん

地域No.1ネイリストを目指して出張ネイルサロンをオープン

出産直前に富岡町への移住が決まり、子育てをしながら出張ネイルサロンをオープンした橘 輝(たちばな ひかる)さん。初めてお会いしたときはクールな印象を受けましたが、お話を聞くとなんて楽しい人なんだ! と、その人柄に惹かれました。町内でやりたいことに向かって頑張る橘さんの姿を見ていると、富岡町の魅力と可能性に改めて気づかされます。ここでは、「富岡町で起業する」ことのメリットなどもお聞きしました。

出産を目前にして富岡町への移住が決まる

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―旦那様のお仕事の都合で富岡町に移住されたとお聞きしました。

橘さん:はい、夫の富岡勤務が決まったのが出産の直前でした。出産してすぐに引っ越すのは無理なので、先に夫が移住して、私は出産後1ヶ月ほどしてから富岡に向かいました。

―以前はどちらにお住まいだったんですか?

橘さん:神奈川県横浜市です。

―都会から田舎へ、しかも生まれたばかりのお子さんを抱えての移住に不安はありませんでしたか?

橘さん:私は兵庫県姫路市出身なのですが、横浜の都会具合がちょっとしんどかったんです。人は多いし、自然は少ないし。それに、初めての出産を終えたばかりで、気持ちが不安定になっていたこともあって、そのタイミングで富岡町に移住したのは私にとっては良かったみたいです。

―人が少ない田舎の方が合っていた?

橘さん:知り合いもまったくいない状態でしたし、そもそも人が少ないので“誰かと比べる”ことがなかったんですね。人が多い都会で子育てしていたら「あの子はちゃんと寝るのに、うちの子は寝ない」とか、無意識によその子どもと比べちゃって、自分を追い込んでいたんじゃないかなって。産後のメンタルのアップダウンが激しかったので、逆に人にあまり会わない状況の方が私は助かっていたのかもって、今になって思います。

―誰かに頼りたくはならなかったですか?

橘さん:私の母が、すごくしっかりした人で。そんな母を見て育ってきたからか、人に頼るのが下手なのかも(笑)。子どもが生まれてからも働くのが当たり前って感じの人だったので。

―だから橘さんも、子育てしながら働こうと思われたんですか?

橘さん:そうですね、母の影響は大きいかもしれません。

好きなネイルを仕事に

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―ネイルを始めたのはいつ頃から?

橘さん:ネイルが好きで、自分の爪にはよくやっていました。20歳の成人式のときに、友人に「爪どうする?」って聞いたら、「ネイルサロンは高いし、自分じゃできないし、特に何もしない」って言うので「じゃあ、私がやってあげる」って。友人がすごく喜んでくれたのが嬉しくて。そこから少しずつ人にネイルをするようになりました。

―ネイリストの資格は取ったんですか?

橘さん:資格を持っていなくても施術はできます。でも、持っているとやっぱり信頼感と信用度が違うと思うので、スクールに通って資格を取りました。

―お客さんも、資格を持っているネイリストさんの方が安心できますよね。

橘さん:資格試験って、すごく難しいんですよ! 3級は比較的簡単に取れるくらいのレベルなんですけど、2級はかなり練習しないと取れないし、1級はめちゃくちゃ練習しないと無理。

―橘さんは何級?

橘さん:1級取りました! これで自分の技術を証明できると思って、頑張りました!

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―ネイルを仕事にしようと思ったきっかけは何かあったんですか?

橘さん:ネイルサロンを開業しようと思ったのは、富岡に移住してからです。共働きじゃないと娘をこども園に預けられなかったというのも理由のひとつですが、いちばんの理由は「娘にとって優しいお母さんでいたい」から。私の性格上、娘と一対一でずっと一緒にいるのはしんどいだろうなと思っていたんです。自分の時間がないと、心に余裕がもてない。勝手にイライラして、怒らなくていいことで怒ってしまいそうで。だから、娘のためにも、自分のためにも、働く時間が必要だったんです。

それと、時間のコントロールがしやすいというのもあります。子どもが小さいうちは頻繁に熱を出したり体調が悪くなったりするだろうから、時間の融通がきく仕事がいいなと思っていました。自分の責任で判断して仕事を進められるのは、個人事業主の強みでもあるなと思います。娘との時間を大切にしながらも、社会人として自分の立ち位置を作れる手段が、私にとってはネイルサロンを開業するということでした。

―旦那様は、橘さんが開業されることに対して何かおっしゃっていましたか?

橘さん:「いいんじゃない?」って言ってました(笑)。私がすることを否定しない人なんです。やってみなよって応援してくれる。無理はしないでね、とは言われますが(笑)。

―「出張ネイルサロン」ということですが、お客様のご自宅に行って施術するのですか?

橘さん:はい。女性のお客様の場合は、ご自宅にうかがってネイルをします。男性や町外のお客様の場合は、レンタルスペースを借りて、そこまで来ていただくことにしています。それから、対面だけじゃなくてネイルチップのオーダーも受け付けています。インスタグラムのDMから誰でもオーダーできるようにしているので、全国からご依頼をいただいています。

―クリスマスやお正月などの行事があるときは、みんなキレイにして迎えたいから注文が多そうですね。

橘さん:そうですね。先日までは成人式のオーダーが多かったです(取材当時は1月中旬)。自分が着る振袖の写真を送ってきてくれて「これに合うネイルチップを作ってください」って。細かい作業なので大変ですけど、とてもやりがいがありました!

―現在、対面での施術は平日のみですか?

橘さん:どうしても子どもを預けられる平日のみになってしまうのですが、今後は成人式やブライダルのネイルは土日もやりたいなと考えています。

「自分が一番」になれる可能性が高い町

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―富岡町で開業するメリットはどんなところだと思いますか?

橘さん:お店がまだまだ少ない、ということですね。開業を考えている人にとっては、競争相手が少ないという大きなメリットだと思います。

サロンをオープンする前に、一番近いネイルサロンってどこだろう? と思って調べてみたのですが、いわき市(富岡町から約50km南)や南相馬市(富岡町から約43km北)と、すごく離れたところにしかなかったんです。ネットに載っていないだけで、個人でやっている人はいるのかもしれませんが、それでも数人でしょう。「これは一人勝ちできるのでは!? 」と思いました(笑)。実際、サロンをオープンしてから、お問い合わせを多数いただいています。

―私も知り合いの女性たちに「富岡にネイルサロンができたよ」って話すと、みんな興味津々でした。

橘さん:これが都会だったら、ネイルサロンは星の数ほどあるので、新規出店しても成功させるのは大変です。でも、この地域ではネイルサロンに限らず、美容系のお店も飲食店も少ない。だからこそ、業種に関わらずこの町で開業するメリットは大きいと感じています。富岡町で何かを始めれば、「自分が一番」になれる可能性が高いと思います。

―この「とみおかくらし」でお話をお聞きした方々も、皆さん「チャレンジしやすい町」とおっしゃっていました。出張ネイルサロン開業という大きなチャレンジを果たした橘さんの、これからの目標を教えてください。

橘さん:実は私、以前はブライダル専門のカメラマンもやっていたんです。なので、写真も仕事にしていけないかなと思っています。あとは、コトハナさん(いわき・双葉の子育て応援コミュニティ cotohana)でWEBライターのお仕事もしていくつもりです。いろいろな人に会って話を聞けて、自分の中でとてもプラスになっていると感じています。

―やりたいこといっぱいですね! ステキです! それでは最後に、これから富岡町に移住を考えている人たちにメッセージをお願いします。

橘さん:田舎に移住するとなると、その土地の人たちに受け入れてもらえるか不安になる人も多いと思いますが、富岡町は移住者が多いので疎外感はあまり感じないと思います。県内外、いろいろな地域の人が集まっているからすごく面白いですよ。放射線などの不安もあるかもしれませんが、そこは厳密に調査してくれていますし、農作物の検査も厳しくやってくれています。だから私は「この町を信用して大丈夫ですよ」って伝えたいです。

仕事の面も本当にチャンスの多い町だと思います。起業を応援してくれる制度もありますし。自分のやりたい事にチャレンジできて、自己実現ができる町だと思います。あとは、車がないと生活できないから、運転免許と車は必須だよ(笑)。

文:地域おこし協力隊 遠藤 真耶


橘 輝(ひかる)さん

2021年8月に富岡町で開業届を提出し、同年11月に出張ネイルサロン「OPERA」(Instagram:@opera__nail)をオープン。シンプルなものから繊細なアートネイルまでこなす橘さんの技術とセンスを求め、日々お客が増え続けている。カメラマンとして撮影の依頼も募集中(Instagram:@mm__photographer)

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